Mr Holland's Opus

私にとって作曲家ジョージガーシェイン(Gershwin)の音楽は、多様性に富んだアメリカそのものを映し出していると言ってよいほど、この2つのイメージがイコールで結ばれています。とにかく華やかで躍動感があり、時には繊細でどこまでも美しい音楽を創った憧れの人ガーシェイン。ヨーロッパのクラシック音楽とジャズの節回しが見事に融合し、これぞアメリカンクラシックと定義できるほどに昇華させた立役者の筆頭ではないでしょうか(あくまでアマチュア音楽愛好家の意見です)。若い頃は、あまりにも夢中になりすぎて、寝ても覚めてもガーシェインの曲ばかり聴いていた時期もありました。何しろ、自分が音楽に求める要素のほとんど全てが彼の音楽にはありますから。

 

30を目前に控えた時期、中米への出張時、トランジットで生まれてはじめてアメリカ本土に足を踏み入れることとなったのですが、たまたま機内で放映していた映画「Mr.Holland’s Opus」(邦題 陽の当たる教室)を観ました。映画の中盤に、生徒たちによるガーシェイン音楽の演奏会の場面があったのですが、まさに自分にとってこの映画のクライマックスで、長年憧れていたアメリカの音楽と世界がそこにはあり、これから自分が訪れようとしていることの心躍るような期待感と興奮が、流れてくる音楽とオーバーラップしたことは、生涯の思い出です。特に、才能ある女子生徒ロリーナが情感たっぷりに歌う「Someone to watch over me」は本当に良かったなあ。実は仕事でその月は3回往復するはめになり、その分この映画を何度も繰り返し観ることができたのですが、体が(腰痛のほか)ボロボロになるほど疲弊していたからか、かえってガーシェインの音楽とその感動がある種の疲労回復薬・滋養強壮剤になったのだと思います。

映画も全体的に良かったと思いますが、特にこのガーシェイン演奏会にまつわるエピソード部分がとても気に入り、その後ビデオも購入したほどです。タイトルのOpusですが、この複数形がOpera オペラでしたね。

なお、記念すべきアメリカ入国最初の訪問都市はサンフランシスコでした。午前到着後、中米某国への便が深夜発だったこともあり、空港近くのホテルで休むでいるのも勿体ないと思ったので、市街地の方に出てみることにしました。アメリカらしい外階段のある古く重厚なビルが林立するダウンタウン地区に入る気持ちが高揚しましたし、シーフードの店が並ぶ市場地区を散策し、海に浮かぶアルカトラス島などを眺めたのも覚えています。ただ、時差で疲れていたこともあり、印象深いゴールデンゲートブリッジを渡った記憶をはじめ、あれは幻だったのではと思えるほど霞んだような残像として思い起こされます。

今振り返れば、人生のあの時期に大きな感動をあたえてくれたガーシェインの音楽=アメリカの大地に素直に感謝したい気持ちでいっぱいです

名曲Someone to watch over meも沢山のシンガーに歌われていますが、自分のベストはエラフィッツジェラルドの初期のアルバムに収録されているテイクです。伴奏ピアニストのEllis Larkinの奏法(手が大きくないと難しいのですが)が好きなので。。

 

ガーシェイン演奏会

 https://www.youtube.com/watch?v=BrI9htKzy-c

Someone to watch over me

https://www.youtube.com/watch?v=3A84-s9RyNw

エラフィッツジェラルド

https://www.youtube.com/watch?v=IBSjLFJBW6M