傑出した英語力

"Incessant is the change of water where the stream glides on calmly: the spray appears over a cataract, yet vanishes without a moment's delay . Such is the fate of men in the world and of the houses in which they live. "

 

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」

 

「坊ちゃん列車」に乗った話のついでに、夏目漱石についてもう少し触れます。

夏目漱石が英語教師として松山の愛媛尋常中学校に赴任していたという事実も、今回の旅行において自分が何か特別な思い入れというか、感慨に至る重要な要素でした。残念ながら、彼の作品や資料などを参考に足跡を辿ったりしたわけではないのですが、作家としては勿論のこと、英語教育者であり、(偉大な)英文学者として、かねてから強い関心を寄せていたので、これを機に今一度、彼について学び直したいと考えています。

引用しているのは鴨長明方丈記」の有名な冒頭箇所ですが、当時東大英文学科で夏目漱石を指導した主任教授J・ディクソン氏の依頼で漱石が英訳したものです。ディクソン氏が少し手を入れたのでしょうが、漱石の翻訳能力は相当なものだったことが伺いしることができます。

新潮選書の「英語教師 夏目漱石」は英語教育者、英文学者としての様々なエピソードや漱石の英語力、英語教授法、英語試験などに関する検証や考察など、大変興味深い内容でした。 

 

英語教師 夏目漱石 (新潮選書)

英語教師 夏目漱石 (新潮選書)